幼児のAML(急性骨髄性白血病)の発症率は、父親が喫煙すれば4.6倍、母親が喫煙すれば8.8倍
AMLは、血液をつくる骨髄、脾臓などの器官で白血球系細胞が無制限に増殖する造血
器官のがんで、年間の発症者はおよそ4000人、死亡者はおよそ1000人だ。
喫煙とAMLの発症リスクとの関連性を検証した海外の多くの研究によると、AML発症
リスクは非喫煙者よりおよそ1.5倍も高い。特に深刻なのは幼児への影響だ。幼児のAML
発症率は、父親が喫煙すれば4.6倍、母親が喫煙すれば8.8倍にも上る。
さらに恐ろしいのは、副流煙(タバコの先から出る煙)による受動喫煙とAML発症リ
スクとの関連性だ。喫煙者が吸い込む煙を主流煙、喫煙者が吐き出す煙を呼出煙という
が、副流煙に含まれるタール、ニコチン、一酸化炭素などの有害物質の濃度は、主流煙
より2~3倍も高い。
厚労省「最新タバコ情報」によると、主流煙よりニコチンは約2.8倍、タールは約3.4
倍、アンモニアは約46倍のほか、シアン化水素、ダイオキシン、ベンゾピレン、ニトロ
ソアミンなど、約70種類以上ある発がん性物質の量も副流煙のほうが高い。
特に、タバコの副流煙に含まれる発がん物質であるベンゼンの量は、1本当たり
300μg。この数値は主流煙に含まれるベンゼンの約9~40倍にも達する。8時間にわたっ
て受動喫煙すると、副流煙に含まれる発がん物質のニトロサミンの量は、能動喫煙約10
本分にも相当する。
ちなみに、受動喫煙によって、すべてのがんの発症率は1.6倍に増えるが、そのリスク
は原子爆弾に2.5kmの至近距離で被爆するリスクに匹敵するとの研究もあるほどだ。ま
た、17年間にわたり日本人およそ26万人を対象に実施した大規模追跡調査によると、夫
が1日20本以上喫煙すれば、非喫煙の妻が白血病を発症するリスクは、非喫煙者の妻より
も2.04倍も高い。
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両親の喫煙と幼児への影響
両親の喫煙と幼児への影響